【研究報告】高齢者デイケアセンターにおける園芸療法と機能回復訓練の影響とAIによる介護記録のテキストマイニング

小浦誠吾先生(本校講師)、池田明子(本校校長)他で行った研究内容について、ご報告いたします。

目的

日本ではCOVID-19の大流行により、高齢者施設利用者も運動機能や認知機能の低下が顕著となった。常時導入されているハンドケアトリートメント施術を中心とした受動的園芸療法と、片麻痺患者の機能回復訓練で用いられている能動的機能回復訓練を組み合わせた活動を検討した。

方法

研究参加に同意した要介護1または2の高齢者36名を対象とした。受動的な園芸療法は、ソフィアフィトセラピーカレッジ池田明子理事長から指導を受けたセラピストとリハビリテーション学科教員と学生が担当した。能動的な活動は、機能回復訓練は(福)莞爾会の通所施設等で導入したレッドコード、足こぎ式車いす、AI姿勢診断などを導入した。評価は、認知症状、日常活動、老人性うつ症状の評価に加えて、AIを用いたテキストマイニングにより最新の機能訓練導入前後のカルテ、サービス計画書、介護メモなどの報告書内容の変化、それらの使用言語の関係を比較した。

結果と考察

認知機能評価結果は、いずれも「自主的活動不参加群」より「園芸療法、ハンドケアトリートメント施術参加群」および「新規の機能回復訓練も参加群」で有意に高かった。iADL評価も同様の傾向であった。老年期のうつ病評価は、「園芸療法、ハンドケアトリートメント施術参加群」および「新規の機能回復訓練も参加群」が「自主的活動不参加群」よりうつ傾向が有意に低くなった。このことで、高齢者通所施設における園芸療法と能動的な機能訓練の組み合わせが、コロナで低下した認知機能と身体機能と精神面の回復に有意義であることが示された。また、受動的な園芸療法は要介護者の真のニーズを聞き取ることが可能なハンドケアトリートメント施術が有効であり、能動的な園芸療法に関しては、園芸作業にこだわる必要なく症状に合わせた機能回復訓練機器の有効活用が有効であると考えられた。

結語

ハンドケアトリートメント施術と能動的な機能回復訓練機器の有効活用は、コロナで低下した認知機能と身体機能と精神面の回復に有意義である。

この研究は、Open Journal of Therapy and Rehabilitation Vol.12 No.2, May 2024 で公開されている。


高齢者デイケアセンターにおける園芸療法と機能回復訓練の影響とAIによる介護記録のテキストマイニング

Influences of Horticultural Therapy and Functional Recovery Training at a Day-Care Center for the Elderly and Text Mining of Care Records by AI
小浦誠吾1、松谷真也1、長尾和穂2、福島 悠2、池田明子1,3、押川武志1、稲垣智祐2、東 健太郎2

1西九州大学大学院保健医療学研究科博士後期課程
2社会福祉法人莞爾会、都城市。
3ソフィアフィトセラピーカレッジ、東京、日本


小浦誠吾先生プロフィール(2024年4月現在)
https://sophia-college.jp/course/teacher/seigo-koura.html

西九州大学リハビリテーション学部リハビリテーション学科 教授 学部長
西九州大学大学院教授 医療保健学博士後期課程専攻長、リハビリテーション学修士課程専攻長
西九州大学デジタル社会競争学環 教授


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